贈りもの帖

お菓子がくれるおだやかな時間

お菓子がくれるおだやかな時間

昔から、なんでもない日にプレゼントするのが好きなわたし。一番あげてきたのは、自分で焼いたお菓子だと思います。

小さなころからお菓子を焼くのが好きだった気はしますが、高校生になって毎週末お菓子を焼くようになり、それを友人にプレゼントするようになり……

大学生になって一人暮らしを始めると、なんだか手持ち無沙汰になったときにはとりあえずお菓子を焼く、というルーティンが出来上がりました。焼いているときはお菓子の甘い香りに包まれてしあわせ。食べたらおいしくてしあわせ。友人にプレゼントしたら喜んでもらえて、もっとしあわせ。いつの間にか、お菓子はそんなうれしい循環をもたらしてくれるものだと気づいて、お菓子を焼くのがもっともっと好きになるのでした。

去年、大学時代にわたしのお菓子を一番食べてくれていたといっても過言ではない友人とたまたま近くに住むことになりました。友人は大学を卒業後、遠く離れた場所へ就職したので、以前みたいにふらりと会えるのがとても不思議な気分でした。

仕事に追われ、わたしも前みたいにお菓子を焼くことは少なくなってしまいましたが、たまに焼くお菓子を「おいしい」「癒される」とほめてくれる友人の言葉は、あの頃のうれしい気持ちを思い出させてくれました。

そのうち、近所に住みつつも仕事が忙しくなかなか会えない友人へ、お菓子を玄関のドアノブにかけておくことが増えました。友人が仕事から帰ってきたときに、ちょっとしたサプライズ。喜んでもらえたらいいな。お菓子を食べて、少しでもほっとする時間を持てたらいいな。そんな気持ちを込めて、ささやかなメッセージと一緒に贈っていました。このラッピングの組み合わせはどうかな、前にあの子がくれたレターセットで手紙も書いてみよう。そんなプレゼントにまつわるあれこれを考えるのも毎回たのしくて、その時間はわたしにとっても心地よいものでした。

わたしがあげるお菓子は、「贈りもの」と呼ぶには少々物足りないかもしれないけれど、相手のうれしそうな顔を見ると、やっぱりプレゼントっていいものだなあ、と毎回実感するのでした。

スタッフ teruyama

GIFTGRAPHY担当。
なんでもない日に、ちょっとしたプレゼントを贈るのがすき。いつか使えるかも、とかわいい紙ものやラッピング用品をつい集めてしまう。頭のなかは常に食べたいもの・つくりたいお菓子でいっぱい。


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