つくり手ノート

植物の力を大切に、伝統と新たな文化の発信を/BOTANICAL SHOP foo-flo

東京・世田谷の住宅街を10分ほど歩くとふと現れる、ボタニカルショップ・フーフロー。小さなお店いっぱいに並ぶ色とりどりのお花や植物たちは、見ているだけで心が弾みます。

中でも一際目を引くのは、寄せ植えをブーケのように束ねた「ブーケ・ド・ポ」。
オリジナリティあふれるアイディアが生まれる理由と、お花屋さんという職業に込められた想いを、店主の成井千賀子さん、そして社長の松橋佳恵さんからのお手紙を代読いただいて伺いました。

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■「お花バカ」こそ自分の強み

園芸店であるフーフローのほかに、花の仲卸業を行う会社、そしてガーデナー御用達のイギリス・HAWS社のジョウロなどを扱う会社、と全部で3つの会社を経営する松橋さん。
ちょっと不思議な「フーフロー」という名前の由来は、松橋さんが「自分には花以外で得意なことがない。いわゆる『お花バカ』こそが自分の強み。そこで『fool/foolish』と『flower』、バカとフラワーを組み合わせた造語を会社名にした」ところから。
成井さんも「みんな花バカ、花好きだなと思う」と笑います。

■「花に育てられ」て、最も身近な花の世界へ

実は、ご実家もお花屋さんだという成井さん。地元で100年ほど続くお店だそうで、「花屋で生まれ、花屋で育ち、花に育てられた」と話します。さぞ小さなころから花屋を志していたのかと思いきや、意外にも昔は「大変だし、休みもないし、なんだか嫌だなっていう世界から離れたかった」そう。
花以外のものに夢中になって過ごす中、ある時ふと「自分にはなにもない」と気がつきます。そこで最も身近にあった花の世界に入ったのが、この仕事に就くきっかけでした。

 ■自然な流れに乗ってオープンしたお店

 今も仲卸の現場に立っているという松橋さんには、園芸店をやりたいという思いがずっとありました。
「本業が仲卸なので、店舗を持つのはある種の勉強です。園芸店=広いというのがほとんどの中、あえて狭いをコンセプトにお店を作ってみるチャレンジだったと思います。今の場所は周りに特に何もなく、ある時たまたま車で前を通り、ピンときて決めました」

そして2020年3月、「ずっと松橋さんのもとで働きたいと思っていた」という成井さんに声をかけ、お店をオープン。新型コロナウイルスの影響で人々の生活が変化したこともあり、お花を求める人も多く、人通りの少ない場所ながらも認知されるようになりました。

成井さんと松橋さんの出会い、そしてお店をオープンするまで……。気持ちのいい流れにのって、ここまで歩んできたことがわかります。

松橋さんが花屋を運営する上で大切にしているのは、「植物の持つ力を信じきること、生きているものを扱っている以上元気で明るく対応すること、ほかではやっていないこと・新しい何かを常に探すこと」。

そして成井さんが花のオーダーを受けるときには、お客さまのニーズや希望はもちろん、お花の季節感を大事にしているといいます。
「食べものと同じように、旬を大切にしたお店でありたい。あとは、切り花側の目線も持っていることが強みだと思うので、例えばブーケ・ド・ポのように、切り花のアレンジと寄せ植えの共存みたいなこともできればいいなと考えています」

「苗ものでつくる花束」を意味するブーケ・ド・ポは、「寄せ植えをもっと切り花の花束のようにふんわり自由に楽しめないか」との考えから生まれました。

花をプレゼントする際のコツを伺うと、花を贈られることに慣れている方には好みを聞いたり、あまり目にしないような花を。逆に、慣れていない方には持ちのよい花、わかりやすい花、知っている花を。そして植物の世話をするのが好きな方への贈りものには、長く楽しめる苗ものをおすすめしているとのこと。

■まっすぐで素直な存在、植物

「植物は見て触って香りを嗅いで、さらには食べて飲んでと、人生全般において私たちの偉大なお薬だと思います。身体にも心にも効くお薬です。暖かくなればすくすく成長し、日が差せば花を咲かせ、実をつけ、雨が続けば元気がなくなります。さらにその土地に適した姿に進化し、あるいは人間の交配によって新しい魅力的な品種が発生し、生産する人の気持ちや技量によっても格段に差が出てきます。まっすぐで素直な存在です」
松橋さんの言葉にうなずきながら、これは人間も同じだと思います、と成井さん。植物も人間も、同じ生きもの。

■日本の花文化を新しい形で

流行りは乗るものではなく、つくり出す側でありたい、とも話す成井さん。
「日本の花文化って、お盆・お彼岸・お仏花・お榊・お正月など根付いたものがいろいろあるんです。その日本の花文化を伝承するために、新しい形で何か発信できたら。社長の頭が柔らかくて、常に楽しいこと新しいことを考えていて、私たちもそれを楽しんでいます。自分たちの持つ能力で何ができるか常に考えています」

言葉の端々から伝わってくる、植物への深い愛情と、お客さまはもとより生産者の方を大切に思う気持ち。そして、成井さんと松橋さんとの信頼関係。
新しいこと、守り継がれてきた文化。そのどちらもを伝えていくために、フーフローさんの挑戦とアイデアは尽きません。

 

<BOTANICAL SHOP foo-flo ボタニカルショップ フーフロー>

東京・世田谷の住宅街にポツンとたたずむボタニカルショップ。
厳選されたお花や植物、選りすぐりのガーデングッズを取りそろえています。簡単に出来る寄せ植えやアレンジなど、楽しく植物と触れ合うことが出来るレッスンやワークショップなども開催。
GIFTGRAPHYでは、ブーケとアレンジに加え、寄せ植えもお取り扱いしています。いずれもご希望のイメージやお色でおつくりするオーダーメイドです。

〒158-0091 東京都世田谷区中町2-30-21 シルバー玉川(世田谷区立玉川小学校前)
TEL:090-9821-9077
OPEN:10:00-19:00 定休日なし

foo-flo公式サイト:https://foo-flo.com/ 


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