〈あげて⇄もらって〉新しい発見のギフト店
海をみおろす丘の上にある、小さな家に住んでいるルピナスさん。子どものころのルピナスさんは、夜になるとおじいさんから遠い国々のお話を聞いていました。「おおきくなったらとおくへいく。おばあさんになったら海のそばの町に住む。」という夢を持ちます。
そして、おじいさんとある約束をします。
「世の中を、もっとうつくしくするために、なにかしてもらいたいのだよ」
少女からレディになり、おじいさんから聞いていた遠い国々を訪ね、海の近くに住み、夢をかなえたルピナスさんは、やがて年をとり、おじいさんとのまだ果たせていない約束について思いを馳せます。
そして...。
小さなルピナスさんの心にまかれた言葉の種が、うつくしい花を咲かせ、「ルピナスさん」と呼ばれる由縁に。
おじいさんから託された素敵な約束は、大おばさんのルピナスさんから、ちいさなわたしにまた引き継がれていきます。
板に水彩絵の具で描き、色えんぴつでアクセントをつけるという独特な画法でつくられたうつくしい色合いが、ページを開くたびに目の前にひろがります。
まっすぐに伸びて青、紫、ピンクの花を咲かせる華やかな「ルピナス」、背筋ののびたレディのルピナスさん、「世の中をうつくしくすること」にまっすぐ向き合うルピナスさんの心。ルピナスと一人の女性の生き方をかさねてしなやかに語る一冊に共感する女性はきっと多いはず。大人に贈りたい絵本です。
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バーバラ・クーニー/作
掛川恭子/訳
大きさ:21×27cm
ページ数:32ページ
初版:1987年10月