〈あげて⇄もらって〉新しい発見のギフト店
ちょうどよい量が注げて、切れがいい。理想的な使い心地を追求し、工夫を重ね完成した「東屋」のお酢入れと、選りすぐりの素材と時間を惜しまない伝統製法で、「お料理の味を引き立てる酢」をつくり続ける「林孝太郎造酢」の京あまり米酢をギフトセットにしました。
日本の道具の魅力を改めて教えてくれる「東屋」。こちらのお酢入れは東屋だけでなく、色んな人の力が合わさってつくられています。
デザインをした猿山修さん、型をつくった金子哲郎さん、そして白岳窯の職人さん。みなさん、東屋が信頼するつくり手の方々です。
白岳窯は長崎県波佐見焼の窯元です。熊本県の天草地方の天然陶石でつくられた磁器は、つるりと滑らかですがすがしい白。食卓にどんな器が並んでもなじんでくれます。
かたちはご覧の通り、丸みを帯びて愛らしい印象。そこからちょこんと出た注ぎ口がまた可愛らしいのです。
液体調味料入れでストレスになるのが、切れの悪さ。液だれするのがイヤで、いっそ瓶のままで食卓へとも思うけれどそれも味気ない。
東屋のお酢入れは、そんな使い手の気持ちを汲み取り、切れのよさを大切につくられています。気持ちいい切れの理由は注ぎ口にあって、本体を傾けて戻す際にカーブした注ぎ口の中が真空になり、残った酢がすっと本体に吸い込まれるようにつくられているのです。
しかも、中身の量に関わらずちょうどよい量が注げます。理想的な注ぎ口が完成するまで工夫を重ね、三年の月日をかけたそうです。
もう一つのこだわりポイントが、本体と蓋の合わさる部分にあります。
通常は蓋をしたまま焼くため釉薬がかからないこの部分にも釉薬をかけて、本体と蓋を別々に焼成。この手間により、合わせの部分に酢がこびりつかず、気持ちよく使いつづけることができるのです。
林孝太郎造酢の始まりは190年以上前。もともとは酒と酢をつくっていました。
お店の名である「孝太郎」さんの代に、分家としてお料理屋さんや仕出し屋さんへ向けたお酢を専門で手掛けるように。
「お酢は決して出しゃばらず、お料理の味を引き立てる名脇役のような存在であるべき」という考えのもと、職人によって時間をかけてつくられているのが京あまり米酢。自分たちの子供が安心して食べられるものをと、化学調味料などに頼らないものづくりを続けています。
その昔、お酒の余りを酢にしていたということから、京都ではお酢屋さんを「あまり屋さん」と呼んでいました。7代目にあたる林孝樹さんのお父さまが付いていった配達先でも「あまり屋さんが来たよ」と言われた記憶があったことから、「京あまり米酢」という名前にしたんだそう。この米酢は今主流となっている速醸法ではなく、昔ながらの自然に発酵熟成をさせる製法でつくられています。熟成に半年~1年をかけることで、自然のうまみが生まれ、まろやかでこく深い酢になります。
同店がある場所は、古くから茶道の御家元が多く、その昔に千利休が茶室をこの地に構えたのも、お茶やお出汁に最も適した軟水が湧き出ていたからだといいます。
酢づくりにも水は重要なもの。軟水でつくる酢はやわらかい味わいに仕上がります。この名水と国産米を使い、味を変えることなくつくり続けること。それがとても難しいことだという、7代目の林さんの言葉がとても印象的です。▲7代目の林孝樹さん
同店の米酢のレシピから、万能にらダレをつくってみました。▲こんがり焼いた鶏肉に万能にらダレをかけて
にらとしょうがの香りが豊かな食欲を刺激するタレ。醤油ベースのタレにお酢がよい引き締め役になっています。つくって少し時間をおくと、にらとしょうがの味がタレ全体に行き渡ります。
肉、魚、豆腐、野菜、麺類など何にかけてもおいしく、冷蔵庫にあると心強い味方になってくれそう。
万能にらダレ
材料:
にら1束、しょうが2かけ、京あまり米酢大さじ2、しょうゆ大さじ6、砂糖小さじ2、ごま大さじ2、胡麻油大さじ2、豆板醤小さじ1(お好みで)
つくり方:
にらは細かく切り、しょうがはすりおろす。そのほかの調味料とにら、しょうがをよく混ぜ合わせなじんだら、冷蔵庫で冷やして出来上がりです。
写真提供:林孝太郎造酢(2、7枚目)
[東屋]お酢入れ
素材:天草陶石、石灰釉
サイズ:直径92×高さ81mm(注ぎ口含む)、容量120ml、重量100g